奨学金の返済が苦しい場合の選択肢|債務整理は可能か?

更新日:2026年5月


はじめに

「奨学金の返済が苦しくて、毎月の生活がきつい」「奨学金も債務整理できるのか」——このような悩みを抱えている方は少なくありません。奨学金は借金の一種ですが、その性質から一般の借金とは扱いが異なる部分もあります。

本記事では、奨学金の返済が苦しい場合の選択肢と、債務整理との関係を解説します。


奨学金は債務整理できるか?

結論から言えば、奨学金も債務整理の対象にできます

奨学金(日本学生支援機構の奨学金が代表的)は、法律上は「貸付金」であり、返済義務のある借金です。そのため、任意整理・個人再生・自己破産のいずれの手続きでも整理の対象にすることができます。

債務整理の種類奨学金への適用
任意整理対象にできる(交渉が必要)
個人再生対象にできる(圧縮可能)
自己破産対象にできる(免責可能)

奨学金の任意整理の特徴と注意点

日本学生支援機構(JASSO)との交渉

奨学金の任意整理では、日本学生支援機構と交渉して返済計画を変更することを目指します。ただし、JASSOは将来利息カットには応じないことが多いという特徴があります。

一般の消費者金融は「将来利息のカット+元金の分割払い」が基本ですが、奨学金は金利がそもそも低い(または無利子の場合もある)ため、交渉の内容が異なります。

保証人・連帯保証人への影響

奨学金には多くの場合、保証人または連帯保証人(親・兄弟など)がついています。任意整理を行うと、保証人に対して一括請求が来る可能性があります。

これは奨学金の整理を検討する際の最大のハードルのひとつです。


奨学金専用の返済猶予・減額制度

債務整理の前に、まず以下の制度を活用することも検討しましょう。

1. 返還期限猶予制度(JASSO)

  • 収入が一定以下・失業・災害などの事由がある場合
  • 最大で通算10年間、返済を猶予できる
  • 猶予中は利息が発生しない(無利子奨学金の場合)

2. 減額返還制度(JASSO)

  • 月々の返済額を2分の1または3分の1に減額できる
  • 収入が少ない場合に利用可能
  • 返済期間は延長される

3. 所得連動返還制度

  • 年収に応じて返済額が変動する制度(2017年度以降の貸与者)

奨学金の債務整理を検討すべきタイミング

状況対応策の目安
収入が減り、返済が苦しいまず減額・猶予制度を利用
奨学金以外の借金も多い債務整理(任意整理・個人再生等)を検討
奨学金も含めて返済不能個人再生・自己破産を検討
保証人(親)に迷惑をかけたくない奨学金を整理対象から外す方法も検討

民間奨学金・給付型奨学金の場合

民間の奨学金(企業・団体のもの)は、内容によって返済義務がある場合とない場合があります。給付型奨学金(返済不要のもの)は当然、債務整理の対象にはなりません


まとめ

  • 奨学金は債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)の対象にできる
  • ただしJASSOは将来利息カットに応じにくいため、任意整理の効果が限定的な場合がある
  • 保証人がいる場合は、整理対象にすると保証人に請求が来る可能性がある
  • まずはJASSOの返還猶予制度・減額返還制度の利用を検討する
  • 奨学金以外の借金も多い場合は、包括的に債務整理を検討する

奨学金の返済問題は複雑なケースも多いため、弁護士・司法書士への相談で自分の状況に合った選択肢を確認してください。