債務整理中の生命保険はどうなる?解約・解約返戻金の扱いを解説
更新日:2026年5月
はじめに
債務整理を検討する際、「加入している生命保険はどうなるのか」「保険を解約しなければならないのか」と不安を感じる方も多いでしょう。債務整理の種類によって、生命保険への影響は大きく異なります。
本記事では、任意整理・個人再生・自己破産それぞれで生命保険がどのように扱われるかを解説します。
任意整理と生命保険
任意整理では生命保険への影響は基本的にない
任意整理は、裁判所を通さず債権者と直接交渉する手続きです。財産を処分する必要がないため、生命保険はそのまま継続できるのが原則です。
ただし、例外として、保険会社が貸付(保険契約者貸付)を行っている場合、保険会社が整理対象になると保険内容に影響が出ることがあります。
保険会社からの借り入れがある場合
生命保険の契約者貸付(保険を担保にした借り入れ)を整理対象にした場合、保険会社との関係に影響が生じる可能性があります。具体的な扱いは弁護士に相談して確認しましょう。
個人再生と生命保険
生命保険は基本的に継続できる
個人再生では、生命保険は原則として解約の必要はありません。ただし、解約返戻金が清算価値(財産の合計)に加算される点に注意が必要です。
解約返戻金と清算価値基準
個人再生では、「清算価値保証の原則」があります。これは、財産をすべて換価(現金化)した額(清算価値)以上の金額を返済する必要があるというルールです。
解約返戻金が高額な生命保険がある場合、その分だけ最低弁済額が増える可能性があります。
自己破産と生命保険
解約返戻金が高額な場合は処分対象になる
自己破産では、一定以上の価値がある財産は破産管財人によって換価(処分)され、債権者への配当に充てられます。
生命保険についても、解約返戻金の額が高い場合(目安として20万円以上)は処分対象となり、解約を求められることがあります。
| 解約返戻金の額 | 扱い |
|---|---|
| 20万円以下 | 自由財産として保持できる場合が多い |
| 20万円超 | 処分対象(換価の対象)になる可能性がある |
ただし、裁判所の判断によって保持が認められる場合もあります。
保険の「名義変更」で守れる場合がある
一部のケースでは、破産申立て前に保険の名義を家族に変更することで保険を守る方法もありますが、破産直前の財産移転は「詐害行為」とみなされるリスクがあります。自己判断で行わず、必ず弁護士に相談した上で判断してください。
死亡保険と医療保険の違い
| 保険の種類 | 解約返戻金 | 自己破産での影響 |
|---|---|---|
| 定期保険(掛け捨て) | ほぼゼロ | 影響なし |
| 終身保険・養老保険 | 高くなりやすい | 処分対象になりうる |
| 医療保険(掛け捨て) | ほぼゼロ | 影響なし |
| 個人年金保険 | 積み立て分がある | 処分対象になりうる |
掛け捨て型の生命保険・医療保険は解約返戻金がほとんどないため、自己破産でも影響を受けにくいです。
子どもの学資保険はどうなるか
学資保険も解約返戻金が発生するため、自己破産では処分対象になる場合があります。子どものための学資保険を守りたい場合は、事前に弁護士に相談して対策を検討してください。
まとめ
- 任意整理では生命保険はそのまま継続できるのが原則
- 個人再生では解約返戻金が清算価値に加算され、最低弁済額に影響することがある
- 自己破産では解約返戻金が高額(目安20万円超)の保険は処分対象になる可能性がある
- 掛け捨て型の保険は解約返戻金がないため、影響を受けにくい
- 保険の扱いは状況によって異なるため、必ず弁護士に相談して判断する
保険を守りたい場合の対策については、早期に弁護士に相談することが最善策です。