個人再生の住宅ローン特則|家を守りながら借金を減らす方法
更新日:2026年5月
はじめに
「借金を整理したいが、家だけは手放したくない」——そのような方にとって、個人再生の住宅ローン特則は非常に有効な制度です。この特則を利用することで、住宅ローン以外の借金を大幅に圧縮しながら、住宅ローンを継続して支払い、家を守ることができます。
本記事では、住宅ローン特則の仕組み・条件・注意点を詳しく解説します。
住宅ローン特則とは
住宅ローン特則(正式名称:住宅資金特別条項)とは、個人再生の手続きの中で、住宅ローンを通常通り支払い続けることを条件に、その他の借金を圧縮できる制度です。
通常の個人再生では、すべての借金を再生計画の対象にします。しかし住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンだけは対象から外して継続返済しながら、他の借金を最大5分の1に圧縮することが可能です。
住宅ローン特則の具体的なイメージ
例:借金総額1,000万円(住宅ローン700万円 + 他の借金300万円)
| 借金の種類 | 特則なし | 住宅ローン特則あり |
|---|---|---|
| 住宅ローン700万円 | 再生計画に含まれる | 通常通り返済継続 |
| 他の借金300万円 | 最低弁済額まで圧縮 | 最低弁済額まで圧縮(60万円程度) |
住宅ローンを守りながら、他の借金を大幅に圧縮できるのが最大のメリットです。
住宅ローン特則を利用できる条件
住宅ローン特則を利用するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
1. 住宅ローンであること
- 住宅の購入・建設・リフォームのための借金であること
- 個人が居住する住宅であること
- 住宅ローンの担保が当該住宅・土地であること
2. 本人が居住している住宅であること
投資用不動産や別荘、事業用物件には利用できません。
3. 住宅に住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
住宅ローン以外の借金(消費者金融など)のために住宅に抵当権が設定されている場合は、特則を利用できない場合があります。
4. 個人再生の要件を満たすこと
通常の個人再生の要件(継続的な収入・借金総額5,000万円以下など)も同時に満たす必要があります。
住宅ローン特則のメリット
- 家を手放さずに借金を大幅圧縮できる
- 自己破産のような職業制限がない
- 住宅ローンの残りを通常通り返済する形で家を守れる
- 家族にも住み続けてもらえる
住宅ローン特則のデメリット・注意点
- 住宅ローンの返済は続くため、圧縮した借金に加えてローン返済が必要
- 住宅ローンを滞納している場合、**リスケジュール(返済猶予)**の交渉が必要なこともある
- 特則の利用には一定の条件があり、すべての人が使えるわけではない
- 住宅ローン以外の借金の圧縮で生活が成り立つだけの収入が必要
住宅ローンを滞納している場合はどうなるか
住宅ローンをすでに滞納している場合でも、特則を利用することで巻き戻し型や期限猶予型という方式を使って対応できる場合があります。
- 巻き戻し型:滞納分を再生計画の返済期間内に分割して支払う
- 期限猶予型:競売等の手続きを猶予してもらい、その間に返済を続ける
ただし、競売が開始・進行している場合は特則の利用に制限があります。早急に弁護士に相談することが重要です。
住宅ローン特則を使うべきかどうかの判断基準
| こんな方に向いている | こんな方は注意が必要 |
|---|---|
| 家を絶対に手放したくない | 住宅ローンの返済が厳しい |
| 住宅ローン以外の借金が多い | 住宅に複数の抵当権がある |
| 安定した収入がある | 本人が居住していない物件 |
まとめ
- 住宅ローン特則を使うと、家を守りながら他の借金を最大5分の1に圧縮できる
- 利用条件として「本人居住」「住宅ローン担保」「個人再生の要件を満たすこと」などがある
- 住宅ローンを滞納している場合でも、巻き戻し型・期限猶予型で対応できる場合がある
- 住宅ローンの返済は続くため、総合的な収支の見通しが重要
家を守りたい方の債務整理は非常に複雑なケースも多く、弁護士への早期相談が特に重要です。